障害福祉の事業所の書類で、私がいちばん何度も直したのは、勤務形態一覧表の「常勤換算」まわりです。特に、1人で2つの仕事(たとえば管理者と支援員)を兼ねている人の時間の書き方で、つまずきました。
この記事は、顧問の先生がいない小さな事業所で、グループホーム・就労継続支援B型・相談支援などの書類を自分で作っている方に向けて書きました。国の資料で確かめたことには番号を付けて、出典を最後にまとめています。
常勤換算とは?
常勤換算(じょうきんかんさん)は、職員が何人分いるかを、「常勤の人が何人分か」に直して数える方法です。
国の通知では、次のように決められています。[1]
- 職員が働いた時間の合計(勤務延べ時間数)を、その事業所で常勤の人が働くべき時間で割る。
- 常勤の人が働くべき時間が1週間に32時間より少ない場合は、32時間で割るのが基本。
- 数えてよい時間は、勤務表の上で、そのサービスの仕事(準備や待機を含む)として、はっきり決まっている時間。
- 1人について数えてよい時間は、常勤の人が働くべき時間までが上限。
たとえば、常勤の人が週40時間働く事業所なら、週20時間働くパートの方は「0.5人分」です。
グループホームの世話人は、「常勤換算で、利用者の数を6で割った数以上」置くことが、国の基準で決まっています。[5] 国の通知には、利用者12人・常勤の時間が週40時間なら、世話人の仕事の時間を1週間で延べ80時間以上(40時間×12÷6)確保する、という例が載っています。[1]
就労継続支援B型でも、職業指導員と生活支援員の合計を「常勤換算で、利用者の数を10で割った数以上」置くことになっています。[5] 相談支援は、相談支援専門員の数の目安が「利用者35人ごとに1人」と、決め方が少し違います。[6] ただ、国の勤務形態一覧表の様式には相談支援の表もあり、職種・勤務時間・兼務の状況を書く形は同じです。[3]
兼務している人の時間は、どう書く?
私がつまずいたところ
私が以前、介護の事業所の書類を作ったときは、常勤の人が管理者と介護職員を兼ねていても、「管理者 40時間」「介護職員 40時間」と、それぞれに40時間を書く形で通っていました。これは、そのときの私の経験です。
ところが障害福祉の書類では、同じように書いたところ、直すように言われました。管理者と支援員を兼ねる人なら、「管理者 20時間」「支援員 20時間」のように、仕事ごとに時間を分けて、合計で週40時間にする必要があったのです。
国の通知と様式を合わせて読むと
国の資料を読むと、この書き方には理由があります。
まず、国の通知で、1人について数えてよい時間は、常勤の人が働くべき時間(例: 週40時間)までと決まっています。[1] 国の勤務形態一覧表(様式の名前は「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」)の書き方にも、従業者ごとの合計時間は、常勤の人が働くべき時間が上限、と書かれています。[3]
次に、国の勤務形態一覧表は、1行に1つの職種を書き、「職種ごとにまとめて」並べる形です。そして、職種ごとに時間を足して、常勤換算の人数を出す作りになっています。[3] 勤務の形も「常勤で専従」「常勤で兼務」「非常勤で専従」「非常勤で兼務」から選び、同じ事業所の中での兼務も、兼務する仕事の内容を書くようになっています。[3]
この2つを合わせると、兼務している人は、仕事ごとの行に時間を分けて書き、その合計が週40時間(常勤の時間)に収まるようにする、ということになります。両方の行に40時間ずつ書くと、1人で80時間分を数えてしまうからです。
なお、管理者と支援員を兼ねていても、時間の合計が常勤の時間に届いていれば、その人は「常勤」です。[1] 国の基準でも、グループホームの管理者は、管理の仕事に支障がなければ、事業所のほかの仕事を兼ねてよいとされています。[5] 国の通知では、管理者などとの兼務の関係を、事業所ごとにはっきりさせておくことも求められています。[1]
注意:書き方は、申請する自治体にも確かめてください
私が申請した自治体では、グループホームだけでなく障害福祉の書類はこの書き方でした。ほかの自治体のことは、私には分かりません。
上の「1人の上限」と「職種ごとに数える」は、障害福祉サービスに共通の国の通知と様式で確かめたことです。[1][3] ただ、表の細かい書き方は自治体の様式で違うことがあるので、お住まいの自治体の手引きや担当の課にも確認してください。
例:数字を入れて計算してみる
ここからは、分かりやすくするために作った数字の例です。実際の事業所の数字ではありません。
- 常勤の人が働くべき時間:週40時間
- 利用者:6人(世話人は 6÷6=1.0人分以上が必要)
| 職員 | 働き方 | 世話人として数える時間 |
|---|---|---|
| Aさん | 常勤。管理者と世話人を兼務(管理者 20時間+世話人 20時間=週40時間) | 週20時間 |
| Bさん | パートの世話人。週16時間 | 週16時間 |
| Cさん | パートの世話人。週12時間 | 週12時間 |
| 合計 | 世話人として数える時間の合計 | 週48時間 |
世話人の常勤換算
(20+16+12)÷40=48÷40=1.2人分
必要な1.0人分を満たしています。
よくある間違いの書き方
Aさんを「世話人 40時間」とも書いてしまうと、(40+16+12)÷40=68÷40=1.7人分になります。でもAさんの40時間のうち20時間は管理者の仕事なので、世話人として数えられるのは20時間だけです。1.7人分ではなく1.2人分、が正しい数え方になります。
加算をとるなら、配置の時間も考える
もう一つ大事だったのは、加算をとるのに必要な時間を考えて、職員の配置を組むことでした。
私が始めたころ:世話人の配置の「区分」
私がグループホームを始めたころは、世話人の配置の区分で苦労しました。
当時のグループホームの基本の報酬は、世話人を何人分置くかで分かれていました。世話人の配置が「4:1以上」「5:1以上」「6:1以上」で、報酬の区分が違ったのです。[4]
今:区分はなくなり、「人員配置体制加算」に
2024年度(令和6年度)の報酬改定で、この区分は見直されました。世話人の配置に応じた基本の報酬の区分をやめて、サービスを提供している時間の実態に応じて「加算」する形に変わっています。介護サービス包括型では、基本の報酬は「世話人の配置6:1以上」の1つ(ほかに体験利用)になりました。[4]
代わりにできたのが「人員配置体制加算」です。基準で決まっている世話人・生活支援員に加えて、世話人や生活支援員を置いた事業所が対象です。介護サービス包括型では、次の2つがあります。[4]
- 人員配置体制加算(Ⅰ):加えて置く人数が、利用者の数を12で割った数以上
- 人員配置体制加算(Ⅱ):加えて置く人数が、利用者の数を30で割った数以上
ここで気をつけたいのは、数え方です。この加算の人数は「特定従業者数換算方法」で数えます。これは、働いた時間の合計を40時間で割る方法です。[4] 事業所の常勤の時間ではなく、40時間と決まっています。
| 加算 | 加えて置く人数 | さらに必要な時間 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 6÷12=0.5人分 | 40時間×0.5=週20時間 |
| (Ⅱ) | 6÷30=0.2人分 | 40時間×0.2=週8時間 |
この時間の世話人・生活支援員が、さらに必要になる計算です。利用者の数の数え方や端数の扱いなど、細かいところは国や自治体の最新の案内で確かめてください。
よくあるつまずき(チェックリスト)
- 兼務の人を、両方の仕事に40時間ずつ書いていないか。1人で数えてよい時間は、常勤の時間までです。[1][3]
- 同じ事業所の中の兼務も、勤務形態一覧表に「兼務する仕事の内容」を書いたか。[3]
- 常勤かどうかを、正社員かどうかで決めていないか。国の様式では、常勤の時間(例: 週40時間)働いていれば、雇い方に関係なく常勤として扱います。[3]
- 休みの扱いを間違えていないか。常勤の人の休暇は、1か月を超えなければ、常勤換算では働いたものとみなせます。パートの方の休みは、常勤換算に入れられません。[3]
- 常勤の時間が週32時間より少ない事業所で、その時間で割っていないか。32時間で割るのが基本です。[1]
- グループホームの世話人・生活支援員の必要な人数は、夜間・深夜の時間帯以外の時間帯で確保するもの、とされています。夜の時間の扱いを確かめたか。[1]
- グループホームの人員配置体制加算を、事業所の常勤の時間で割って計算していないか。この加算は40時間で割ります。[4]
- 加算のための人を、基準で必要な人数と別に(加えて)確保できているか。[4]
何度も直して、どう覚えたか
最初は、自分で正しく書けているつもりでも、役所から直すように言われることがありました。何回直したかは、もう覚えていません。
そのたびに、役所の担当の課に聞きに行き、教えてもらったことをメモに書いて、戻って直していた、と記憶しています。今は慣れて、迷うことは少なくなりました。
もし最初からやり直すなら、計算をソフトに任せると思います。
まとめ
- 常勤換算は、働いた時間の合計を、常勤の人が働くべき時間(32時間より少なければ32時間が基本)で割って、何人分かを出す方法です。[1]
- 1人について数えてよい時間は、常勤の時間までです。兼務の人は、仕事ごとに時間を分けて書き、合計を常勤の時間に収めます(国の通知と様式を合わせて読むと、こうなります)。[1][3]
- グループホームの人員配置体制加算は、40時間で割る別の数え方です。[4]
- 表の細かい書き方は自治体で違うことがあるので、申請する自治体の手引きでも確かめてください。
出典・参考
- [1]障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日 障発第1206001号。いわゆる解釈通知)厚生労働省。令和7年3月31日の一部改正の新旧対照表(別紙2・PDF)の「改正後」の欄で確認。第二の2「用語の定義」((1) 常勤換算方法、(2) 勤務延べ時間数、(3) 常勤)、第十五の1「共同生活援助 人員に関する基準」((1) 世話人の例、(3) ② 夜間・深夜の時間帯)、第十五の3 (9)「勤務体制の確保等」
- [2]指定申請等の標準様式等厚生労働省
- [3]標準様式4(勤務体制一覧表)(エクセル。[2] のページに掲載)厚生労働省。シート「勤務形態一覧表(共同生活援助・介護サービス包括型)」ほか。下の書き方の注意と、常勤換算数の計算式
- [4]令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(令和6年2月6日・PDF)厚生労働省。p.43–44 共同生活援助、別紙5 p.193
- [5]障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)厚生労働省令(e-Gov 法令検索)。第2条第16号=常勤換算方法、第186条=就労継続支援A型の従業者の員数(第199条で就労継続支援B型に準用)、第208条=共同生活援助の従業者の員数、第209条=共同生活援助の管理者
- [6]障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第28号)厚生労働省令(e-Gov 法令検索)。第3条=相談支援専門員の員数の標準
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